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演じていて、ただつらかった…戸田菜穂


12日公開の「俺は、君のためにこそ死ににいく」(石原慎太郎製作・総指揮、新城卓監督)で、女優の戸田菜穂(33、写真)は、特攻に出撃し帰らぬ人となってしまう田端紘一少尉(筒井道隆)の婚約者・田端良子を演じている。

 
「彼が特攻に行くことを知り、いてもたってもいられず、彼を追いかけて特攻基地のある知覧に行くんです。『私も飛行機に乗せて一緒に連れていって』っていうぐらい彼を愛しているのに、どうすることもできない。演じていて、ただ、ただ、つらかったですね」と撮影を振り返る。

 映画は、多くの特攻隊員たちが通った鹿児島・知覧の食堂を経営する鳥濱トメさんの証言がもとになっている。戦争を経験した女性たちの中には、希望を失い、娼婦に身をやつす女性も少なくなかった。田端良子には、そうした女性たちの無念が込められている。

 「負ける戦争なのになぜ行かなければならないのかと、きっと思っていたんです。今の時代では考えられないつらさで、身も心もズタズタにされたんじゃないでしょうか。戦争は大切な人を奪っただけでなく、その後の人生までも狂わしてしまう−やりきれないですよね」

 そんな戦争の悲しみは、広島出身の戸田にとって、とても身近なものだという。祖父は海軍で、家族・親戚には原爆体験者も多い。「祖父も祖母も想像を絶するような体験をしたようです。あまり語りたがらないんですが、祖父の話では、船が沈んで、死人がいっぱい浮いた海を泳いで命からがら生還したそうです。ふだん、明るい祖母も戦争の話だけは触れたがらない。無言になってしまう祖母の姿を見るのが私にはとてもこたえるんです」

 時を経たからといって、消えることのない戦争の痛みを戸田は皮膚感覚で知っている。

 どんな理由があろうと、罪のない人たちを苦しめ、殺し、そして殺させるように仕向けた戦争がにくい−そう涙ながらに訴える戸田。

 「演じることで戦争を伝えていくことが、広島出身の私の使命だと思うんです。若い人たちにも子供たちにも、とにかくたくさんの人にこの作品を見て欲しい」

 ひときわ真剣な眼差しになった。

引用: ZAKZAK
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